年末になると、多くの場所で恒例の大掃除が行われます。
学校や職場でも清掃の風が吹きます。
この記事では、年末の清掃がいつから始まったのか、そしてそれが日本固有の文化なのかどうかを詳しく解説します。
また、掃除を避けた方がよい日についてもご紹介するので、ぜひ最後までお読みください。
新年を迎えるための準備：年末の大掃除の意義
年末の大掃除は、日本の伝統的な慣習であり、年の終わりには家の隅々まできれいにして、通常は手が届かない場所も掃除されます。
この行動は、新しい年を気持ち良く迎えるための準備として重要な役割を果たしています。
この慣習は、「煤払い（すすはらい）」と呼ばれる古い風習にその起源があります。煤払い（すすはらい）は、旧暦12月13日に実施される家庭内の大掃除で、昔の人々が火を使った生活をしていたことから、家の中には煤が多く蓄積されていました。
かまどや囲炉裏、行灯など、煤を出すものの清掃をこの時に行い、家を清潔に保ち新年を迎える準備をしました。また、この行為によって不浄を祓い、新年を祝う神様を迎える準備をするという重要な意味もありました。
煤払い（すすはらい）は、新年への準備、神様への敬意を示す儀式、そして厄除けの三重の意味を持つ重要な行事です。これが現在の大掃除の基となっています。
避けた方がよい清掃の日：その理由と背景
驚くかもしれませんが、大掃除には避けるべき日があるとされています。
具体的には「12月29日、30日、31日」の3日間です。
12月29日に掃除を避ける理由は、「9」が「苦」を連想させるため、不吉とされるからです。さらに、「29」を「にじゅうく」と読むことから「二重苦」と見なされ、特に忌まわしいとされています。
12月30日と31日は、「一夜飾り」と神様への敬意を理由に掃除を避けます。「一夜飾り」とは、大晦日に急ぎで新年の飾り付けを行うことで、これが不吉とされる場合があります。
この行動は、急な不幸の葬儀準備を連想させるため、不吉とされています。また、大晦日の早朝に歳神様が訪れるとされ、その準備が整っていないと不吉であり、無礼とされることが理由です。
さらに、旧暦で12月30日が大晦日にあたるため、この日も避けるとされています。
ただし、これらはすべて伝統的な見解に基づいており、現代では12月29日から31日に掃除を行っても特に問題はありません。ご自身の予定に合わせて清掃を進めても大丈夫です。
このような話を通じて、昔の人々がどれほど縁起を重んじていたかが感じ取れるでしょう。
大掃除に適した日を選ぶには
大掃除に特定の最適日があるかというと、特に固定された日は存在しません。
過去を振り返ると、江戸時代には大掃除の元となる「煤払い（すすはらい）」が12月13日に実施されていました。この日は江戸幕府により「煤納め」と定められており、また旧暦で鬼宿日という吉日でもありました。
ですから、もし特定の日に大掃除を行いたいと考えるならば、旧暦の12月13日を選ぶのが一つの参考になるでしょう。
世界の清掃習慣：日本だけの伝統ではない？
年末の大掃除は日本で広く行われる習慣ですが、世界には日本と似た習慣を持つ国々も多いです。
例えば、中国では「掃塵」という名前で知られる大掃除が、春節の直前、1月末から2月初旬にかけて行われます。これは不運を追い払う目的で家全体を徹底的に掃除し、炉も清めるという伝統です。
インドでは、10月から11月にかけてヒンドゥー教の祭事期間中に大掃除が行われます。
また、アメリカでは「spring cleaning」と呼ばれる春の大掃除があります。これは冬の閉塞感を払って新しい季節を迎えるため、または年末年始の忙しさを避けて行われることが一般的です。
このように、世界各国で見られる清掃の習慣は、時期や意義に違いはあれど、気持ちを新たにするという共通の目的があるようです。
年末の大掃除についての考察
昔は年末になると、家庭全体が一丸となって大掃除に励む姿がどこにでもありました。
しかし、現代では掃除機やその他の高性能な清掃機器が広まったおかげで、年末に大掃除をしない家庭も増えています。
にもかかわらず、部屋や家の掃除だけでなく、個人的な片付けや心を整える「心の大掃除」が必要な時もあるでしょう。
年末は何かと忙しいですが、新年を清潔で心地よい状態で迎えるために、みんなで力を合わせましょう。
